パッサージュとはフランス語で元々「通過」や「小路」を意味していますが、パリにおけるものは18世紀後半以降、中心街に建造されたガラス製アーケードに覆われた歩行者専用通路を意味しています。パリ中心部では、歩行者の利便性を向上させて客を集めるため、既存の建物の中を通り抜ける「小路」を作る工事が進みました。このようにして作られたパッサージュは人々の人気を集め、百貨店の出現以前に高級商店街として発展しました。現在でもパリの市中には十数か所の「小路」が残され、当時の雰囲気を伝えています。
歴史
パッサージュは1786年、ルイ16世の従兄弟にあたるオルレアン公がパレ・ロワイヤルの中庭に面してガラス屋根を持つ回廊型商店街のギャルリ・ド・ボワを建造したのが原型とされています。最初のものは1791年に建造されましたが、後に取り壊されました。現存する最古のものは、1798年に完成したパッサージュです。「散歩する」「ぶらぶら歩く」という楽しみの概念は、パッサージュの出現以降、市民に広まったと言われています。
見どころ
フランス革命後、王侯貴族が所有していた土地や建物が民間の資本家の手に渡りました。19世紀初頭、パリの道路や歩道は整備が進んでおらず、歩行者は非常な不便を感じていました。資本家たちは集客の向上や店子から得られる高い賃料を目論んで、敷地を通り抜けられる商店街兼通路を作りました。屋根をガラスで覆い、壁や床を大理石やモザイクタイルで飾り、ガス灯や暖房設備も設置しました。悪天候や寒さの心配がなく、快適に買い物が出来る「小路」には沢山の人々が集まり、高級商店街として発展しました。
