千畳閣の隣に建つ五重塔は、和と庸を調和させた建築物です。桧皮葺の屋根と朱塗りの柱や垂木のコントラストが美しい塔です。高さ27.6m、方3.6mです。外観は拝館自由ですが内部は非公開です。宮島桟橋から徒歩15分、車では広島岩国道路廿日市ICから国道2号経由5km10分ほどの位置にあります。
歴史
応永14年(1407年)に建てられたものだと伝えられており、もとは大聖院の子院である金剛院に属していましたが、明治の廃仏毀釈の時に厳島神社の所属となりました。戦国時代の天文2年(1533年)に改修され、大正2年には解体修理、昭和26年には、屋根の葺替え工事が行われました。内部は全て庸様で、一般見学はできませんが、内陣天井に龍、外陣天井には葡萄唐草、来迎壁の表には蓮池、裏には白衣観音像などが極彩色で描かれています。塔内にあった仏像は神仏分離令により大願寺に還されました。この五重塔が建つ塔の岡は、厳島合戦で陶軍が陣を構えたと伝えられています。
見どころ
内部は彩色してあり豪華です。内陣の天井には龍が描かれており、外陣にの天井には葡萄唐草の模様が描かれています。その他の壁板にも迦陵頻伽や鳳凰が極彩色で描かれています。五重塔の特徴には心柱が二層目で止まっていることが挙げられます。これにより五重塔は風に対して強い構造となっています。迦陵頻伽(かりょうびんが)とは極楽にいて、美しい声で鳴くという想像上の鳥のことです。