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北池袋の静かな住宅街。その一角にある工房には、色鮮やかでどこか温かい「食べられない本物」が並んでいます。
かつては飲食店の軒先を飾るための道具だった食品サンプルが、今ここでは、訪れる人々が自らの手で形にする「制作体験」の場へと姿を変え、新たな活気に満ちています。
見る「おいしい」から、
作り楽しむ「おいしい」へ。
食品サンプル業界の背景には、約95年前、郡上八幡にある寺の境内で、先人が「水たまりに落ちた蝋(ろう)」が偶然描いた模様に可能性を見出した、という物語があります。
この工房を訪れるお客様を笑顔でお迎えする伊藤さん。発祥の地・郡上八幡で育まれた父親の技を継承し、自らも長年現場に立つことで、変わりゆく業界の姿を間近で見守り続けてきたひとりです。受け継がれた技を今の形へ。「見るための食品サンプル」を「誰もが楽しめる文化」へと進化させてきました。
工房を訪れる人々が、笑顔で作品を完成させ、持ち帰る。その光景こそが、この伝統の新しい姿かもしれません。日本の近隣住民にも、遠く海を越えてくる旅人にも、この驚きと楽しさを届けたい。ここで生まれる作品の一つひとつが、日本の奥深さに触れた旅の思い出として、世界中へと持ち帰られています。

大和サンプル製作所
食品サンプル職人 伊藤裕一
かつては見るだけだった食品サンプルを、ぜひご自身の手で作る体験をしてみてください。上手く作ることよりも、驚きや発見を楽しみながら形にしてもらえたら嬉しいです。ここで過ごす時間が、日本を体験する特別なひとときとなり、大切な旅の思い出として心に残ることを、願っています。
















