世界文化遺産の一つ、宗廟はソウル市中心部に位置する朝鮮王朝時代の霊廟です。東西に伸びる形状の横長の木造建築物は、国王らが亡くなると、新たにその横へと位牌を安置する場所を増築してきたことから現在のような形になりました。また、宗廟は世界無形文化遺産としての指定を受けている、宗廟大祭の行われる場所でもあります。韓国ならではの伝統の二つの側面、建築物と祭祀の行事を同時に見ることができる場所になっています。
歴史
宗廟は朝鮮を建国した太祖が建てたもので、1349年に着工し翌年完成したといわれます。文禄・慶長の役で一旦焼失しましたが、その後1608年に再建されたという経緯を持ちます。代々の国王や王妃の位牌が安置されており、現在でも李氏の子孫たちの手で毎年祭礼がおこなわれています。また、周辺には臣下の位牌を安置する堂なども点在しています。1995年にユネスコの世界文化遺産の登録を受けたほか、韓国の史跡としても指定を受けています。
見どころ
両側に広く伸びる木造建築は、当時世界最大級の木造建築といわれています。中でも、その中心にある正殿は荘厳な趣きがあり、朱色の柱と黒の屋根のコントラストが美しく人々を惹きつけます。ここ宗廟で年に一度行われる宗廟大祭は特に一見の価値があり、韓国でも最大級の祭礼行事として多くの人々で賑わいます。音楽とともに往時の面影を残す伝統儀礼は、時代を遡ったような印象すら覚えます。過度な装飾を押さえた中にある重みが、宗廟にはあります。