正月休みを利用した3泊5日のシェムリアップ行の、午後には帰国便に搭乗する最終日の午前枠で参加しました。
一之瀬泰造さんの遠縁にあたる、仕事先の知人から話を聞いていたこと(幼少期の面識の記憶、親族内での話)と、私自身が普段からアジアの近代戦... 続きを読む史に興味あることが参加のきっかけです。
朝、宿泊先ホテルから出発、一之瀬氏のお墓までの車中で説明いただいた女性ガイド自身も家族との離散を経験し、親類の中に虐殺の犠牲者がいるとのことで、早くもキリングフィールドの世界観オンの状態になります。
他の方も書かれていますが、お墓は車を降りて徒歩2~3分のところにあり、雑草に覆われた沼地を通りはしますが、通り道に板敷も敷かれているので、進むのに苦労するようなことはないです。
ほどなく写真1.の情景が見えてきますが、向かって右手の1~2坪ほどの白い墓陵がお墓で、左手の2~3坪ほどの掘っ立て小屋内に一之瀬氏ゆかりの出来事を報じた写真パネル類が展示されています。
そのパネルからは、同氏が没したとされる1973年の2年後からポル・ポト政権時代に入ったため、長い間、日本からの渡航がままならず、不明だった消息も、同政権終焉3年後の1982年に初めて同氏のご両親が同地を訪れ、地元の有志によって残されていた遺骸・遺品をもって、ようやく死亡が確認された一端が窺えます(1992年にもご遺族が訪れている様子の写真があります)。
お墓に焼香後(親切なことに、地元の有志の方が小屋内に線香とマッチを常備してくださっています)、一路、地雷博物館へ。
博物館内は、半屋外のスペース含めてテーマごとに約10ヵ所からなる小部屋(1部屋は5~6坪ほど)に分かれた展示になっており、その部屋ごとにwifiで飛ばす日本語解説があるので、スマホとイヤホンを持参されると良いです。
地雷関連のみならず、クメールルージュやベトナムなど対外戦をテーマにした部屋もあるので、カンボジア近代史も、かいつまんで勉強になります。
館内では決まった時間にVTR放映があるほか、まとまった来訪客が来館すると、館の敷地内にある模擬地雷埋設場にて、主宰するアキ・ラー氏が自らが、地雷撤去方法を即興で実演いただけることもあるようです。
私の時は、欧米人と思しき5~6人のグループが入館するやいなやラー氏が呼び止めて、埋設場に案内し、そこで英語の即興実演解説が始まりました。
ラー氏は簡単な日本語も話せましたので、日本人グループで行けば、もしかしたら日本語で解説してくれるかもしれません(多少英語が分かる方なら、私がそうしたように、欧米人への説明時に横で一緒に聞いていれば良いと思います)。
お土産売り場にもなっている最後の部屋で、貴重な書籍や写真集(いずれも日本語訳されている)を購入後に、最終目的地のキリングフィールドへ。
チケットを買って入場すると、野球場一面ほどの敷地内に寺院・慰霊塔や半屋外の展示室がポツポツとある情景が目に入ってきて、元処刑場というからさぞや禍々しいところかと思いきや、外観は普通の僧院です。
が、入場してすぐ斜め正面にある5~6坪ほどの室内に入ると、そこには内戦時代の生き残りの方の記憶を元に描かれた虐殺・拷問光景絵図の数々が展示されており、いきなり”らしさ”を実感することとなります。
案内板に沿って進んだ次は、クメールルージュに関する展示室で、敷地内をぐるりと囲んだパネル類もそうですが、決して虐殺の事実のあった政権・時代を批判的に表現したものは見受けませんでした。
これら事の起こりはあくまで内政、内戦によるので、自己批判になってしまうジレンマを常に抱えている、かの国民の複雑な心象が見て取れます。
こちらのツアー含めてガイドの皆さんがそうでしたが、かの時代のあからさまな批判はなく、どこか言葉を飲み込んでいる風でもありました。
本物の骸骨の展示のある3~4坪ほどの展示室と、慰霊塔については、ガイドブックや他の方の解説に委ね、詳しくは触れませんが、いずれも屋外で、透明ケースを通して窺うものゆえ、そこまでのおぞましさは感じません(それすら苦手な方は避けた方が無難ですが)。
お昼12時ちょうどにホテルに送り届けていただき、半日ツアーを無事に終えましたが、ここ数年ではコロナもあり、当ツアー申し込みも年1~2件とのこと。
短時間で効率よく貴重な学びが得られる場であり、かの地での同朋の志に触れ、風化させないためにも、こちらのツアーを続けていただきたいとの思いを込めて投稿させていただきました。
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