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オーストラリアワインの基礎徹底ガイド|主な産地やブドウ品種を知ろう!

オーストラリアの地に初めてブドウの木が持ち込まれたのは、1788年のこと。ワインの世界では、紀元前からワイン造りが行われているヨーロッパ諸国が「旧世界(オールドワールド)」と呼ばれているのに対し、オーストラリアをはじめ、アメリカやチリなどの新興生産国は「新世界(ニューワールド)」と呼ばれています。

伝統を守りつつ新しい技術を取り入れ、新世界を牽引してきたオーストラリアワイン。気候特性やブドウ品種、そして主な産地について詳しく紹介します。

オーストラリアワインの基礎知識

オーストラリアワインの主な産地

日本のおよそ20倍もの国土を有するオーストラリアでは、主に6つの州でワインが生産されています。

まず1つ目は、アデレードを州都とする 南オーストラリア州 。オーストラリア全体の半数以上ものワイン生産量を担う国内最大の産地です。2つ目はシドニーを州都とする ニュー・サウス・ウェールズ州 。オーストラリアワイン発祥の地として名高い歴史ある産地です。さらに3つ目の ヴィクトリア州 は、フランスのモエ・エ・シャンドン社が設立した「ドメーヌ・シャンドン」があることでも有名です。そして、オーストラリア南西部に位置する 西オーストラリア州 、北東部に位置し、ブリスベンを首都とする クイーンズランド州 は、生産量は少ないながらも高品質なワインを数多く生み出す銘醸地です。最後の6つ目は、オーストラリア大陸の南に浮かぶ自然の宝庫、 タスマニア州 。冷涼な気候を活かした、上質でエレガントなワインが魅力です。

オーストラリアワインの特徴

産地によって多彩に表情を変えるオーストラリアワインをマスターする上で知っておきたい、気候特性とワイン法について見ていきましょう。

■気候特性

世界で6番目に大きい国土面積を誇るオーストラリアは、 熱帯~温帯 の気候帯に位置しており、地方によって気候の特徴が異なります。ワイン用ブドウの栽培がさかんに行われている主な産地は 南緯30度~40度前後 のオーストラリア南部にあたり、ブドウ畑は 比較的冷涼な沿岸部に集中 しています。

オーストラリア南部だけを見てみると、南オーストラリア州、ニュー・サウス・ウェールズ州、ヴィクトリア州を含む南東部と、西オーストラリア州のある南西部においては、 温暖な地中海性気候 が特徴的で、 水はけのよい石灰質の土壌 を有しています。また、オーストラリア大陸の南に浮かぶタスマニア州は、南極海からの風を受ける 冷涼な海洋性気候 が特徴的で、 火山由来の火成岩が主な土壌 です。

■地理的呼称(GI)について

GI (Geographic Indications)とは、 オーストラリアにおけるワイン法のうちのひとつ です。ヨーロッパへのオーストラリアワインの輸出が増加したことを受け、1993年にオーストラリア・ワイン・ブランデー公社によって制定されました。これにより ラベルの表示内容への信憑性が確保 されています。GIとして登録されている産地であれば、 どの産地であってもそこで収穫されたブドウが85%以上含まれていることが基本的な条件 で、クリアしたワインだけがラベルへの産地記載を認められています。

GIは、AOCなどといったヨーロッパにおける原産地呼称制度とも似ていますが、ブドウの栽培方法やワインの醸造方法までは細かく規定されていません。そのため比較的自由なワイン生産が可能であり、ヨーロッパの醸造家が新しいスタイルのワイン造りに取り組むためにオーストラリアで拠点を構えるといったケースもあります。

オーストラリアワインの有名なブドウ品種

赤ワインのブドウ品種

黒ブドウを使い、皮や種も一緒に発酵させて造る赤ワイン。オーストラリアで栽培される主な黒ブドウの品種を、気候や栽培方法、香りなどをポイントにご紹介します。

■シラーズ

オーストラリアを代表する黒ブドウの品種として知られ、 国内でもっとも多く栽培 されています。フランス・ローヌ地方を原産地とする シラーと同一品種 で、オーストラリアでは「シラーズ」と呼ばれます。ブドウは 分厚い皮に包まれた小粒サイズ で、 濃い紫の色味 が特徴です。オーストラリアでは温暖で乾燥した気候を活かして栽培されることから、 熟した果実味を感じられる のが特徴的。香りはベリー系で、滑らかなタンニン(渋み)を持つ飲みごたえのあるワインに仕上がります。

■カベルネ・ソーヴィニヨン

環境への適応力が高く、フィロキセラといったブドウの病気にも強いことから世界中で広く栽培されるブドウ品種です。 小粒で黒っぽく、分厚い皮と大きな種から豊かなタンニンが生まれる ことから、長期熟成に適しています。オーストラリアのカベルネ・ソーヴィニヨンは濃厚な味わいとミントのような清涼感があり、先述のシラーズとブレンドしたワインも生産されています。

■メルロー

タンニンのもととなる皮が薄く、実の糖度が上がりやすいメルローは、 柔らかく丸みのあるワイン に仕上がります。ブドウの 粒は中程度のサイズで、深みのある紫色 が特徴です。 プラムやベリー系の香り があり、高品質なメルローのワインからはまるでシルクのように滑らかな舌触りを楽しむことができます。オーストラリアではメルロー単体で醸造されるほか、カベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされることもあります。

白ワインのブドウ品種

主に白ブドウを使い、果汁だけを発酵させてできる白ワイン。オーストラリアで栽培される主な白ブドウの品種を、気候や栽培方法、香りなどをポイントにご紹介します。

■シャルドネ

「白ワインの女王」とも謳われるシャルドネは、 オーストラリアでもっとも多く栽培される白ブドウ です。ブドウの 粒は小さめで皮が薄く 、気候や醸造の方法によって多彩に表情を変えます。そのため産地や造り手の個性を発揮しやすく、オーストラリアの 冷涼な産地では爽やかな柑橘系の風味 、一方で 温暖な産地ではトロピカルフルーツ系の香りと濃厚な味わい を感じることができます。

■ソーヴィニヨン・ブラン

フランス語の「ソヴァージュ(野生的な)」が語源になったといわれる個性的なブドウ品種。 グレープフルーツやハーブを思わせる風味 を持ち、フレッシュで爽やかな印象のワインに仕上がります。ブドウは 粒が小さく透明感のある緑色 をしていますが、温暖な産地では黄金色のブドウも見られます。

■セミヨン

ブドウが若いうちはあまり特徴を持たないため、ソーヴィニヨン・ブランとブレンドされるのが一般的ですが、貴腐菌をつけて長期熟成させると甘口でコクのある「貴腐ワイン」に仕上がります。ブドウの 粒は大きめで、明るい黄緑色 をしています。オーストラリアでは セミヨン100%で醸造される「ハンター・セミヨン」と呼ばれる辛口ワインが有名 であるほか、シャルドネとブレンドされることもあります。

オーストラリアワインの代表的産地の特徴

南オーストラリア州

オーストラリア全体のおよそ半数ものワイン生産量を担う、 国内最大のワイン生産地 。1830年代にヨーロッパからの移民がこの地にブドウの木を持ち込んだことからワイン造りが始まり、今では州都アデレードを取り囲むようにブドウ畑が広がる銘醸地となりました。 「ペンフォールズ」 「ジェイコブス・クリーク」 といった世界的に有名な大手ワインメーカーが本社を構え、国内への流通だけでなく 輸出にも力を入れています

■バロッサ・バレー

アデレードから北に70kmほどの場所にあるバロッサ・バレーは、黒ブドウ品種のシラーズの主要産地であることから “シラーズの首都” と謳われ、 世界でもっとも古いシラーズのブドウ樹木があることでも有名 です。この地の地形がドイツのワイン銘醸地であるライン川流域に似ていることからブドウの栽培が始まったといわれ、現在では およそ150のワイナリーが集まる銘醸地 となっています。

バロッサ・バレーでは、テーブルワインのほかにも、 醸造過程でアルコール(酒精)を添加して造る「酒精強化ワイン」が生産 されています。

■イーデン・バレー

バロッサ・バレーから見て東に位置するイーデン・バレーは、標高が約400~500mと高く比較的冷涼で、ドイツのライン川流域を原産地とする白ブドウ品種、 リースリングの銘醸地 として知られています。標高の低い場所ではシラーズの栽培も行われており、樹齢150年にもなる シラーズの古樹から造られる希少なワイン「ヘンチキ・ヒル・オブ・グレース」 は、オーストラリア最高峰のシラーズと賞賛されています。

■アデレード・ヒルズ

アデレードから東に10kmほどの場所にあるマウント・ロフティ山脈に広がる産地。標高は400~700mと高く、冷涼な気候を活かして ピノ・ノワールやシラーズ、シャルドネやソーヴィニヨン・ブラン といったブドウ品種が栽培されています。 スパークリングワインやナチュラルワインが醸造 されているのも、アデレード・ヒルズの特徴です。

■クレア・バレー

オーストラリア随一のリースリング生産地 として名高いクレア・バレーは、アデレードから北に120kmほどの場所にあります。アデレード・バレーと同じくマウント・ロフティ山脈に位置しており、牧歌的な美しい景観が広がります。クレア・バレーでは、 ワインを劣化から防ぐ効果のあるスクリューキャップがオーストラリア全国に先駆けて導入された ワイン生産地として有名です。

ニュー・サウス・ウェールズ州

オーストラリアワイン発祥の地 として知られるニュー・サウス・ウェールズ州。1788年、イギリス海軍でニュー・サウス・ウェールズ 州の初代総督を務めたアーサー・フィリップ大佐が、シドニーにワイン用のブドウ樹木を持ち込んだのが始まり といわれています。その後1825年にはジェームズ・バズビーがハンター・バレーでブドウ園を開設し、ワインの生産が広まりました。

■ハンター・バレー

シドニーから北に約150kmの場所に広がる、 オーストラリア最古のワイン生産地 。セミヨン100%で醸造された 辛口白ワイン「ハンター・セミヨン」が特に有名 で、アルコール度数が低く 軽めの口当たり が特徴的です。黒ブドウ品種では主にシラーズが生産され、 長期熟成型の濃厚な赤ワイン に仕上がります。

■マジー

ハンター・バレーから見て西に位置 するワイン産地。マジーはオーストラリア原住民の言葉で「丘の上の巣」を意味するように、 標高500m前後 の場所にあります。昼夜の寒暖差が大きくブドウ栽培に適した気候で、白ブドウは主に シャルドネやセミヨン 、黒ブドウは シラーズやカベルネ・ソーヴィニヨンなどが栽培 されています。

ヴィクトリア州

中小規模の生産者が多く、冷涼な気候 を活かした個性的なワインが生み出される産地。 ピノ・ノワール、シラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ などのブドウ品種からワインが造られています。高級シャンパンの「ドン・ペリニヨン」で知られるフランス・シャンパーニュ地方の モエ・エ・シャンドン社が設立した「ドメーヌ・シャンドン」 があるのもここヴィクトリア州で、 スパークリングワインの名産地 としても知られています。

■ヤラ・バレー

メルボルンの北東およそ60kmほど の場所にある、ヴィクトリア州内最古の銘醸地。冷涼な気候から、オーストラリア最高級といわれる ピノ・ノワールの赤ワインや、シャルドネを使ったスパークリングワインが有名 です。ヤラ・バレーには、フランスのモエ・エ・シャンドン社が 「ドメーヌ・シャンドン」 を構えており、シャンパンと同じ瓶内二次発酵のスパークリングワインが醸造されています。

■モーニントン・ペニンシュラ

メルボルンから南下したところにあるモーニントン・ペニンシュラには、こぢんまりとしたブティックワイナリーが点在しています。 海に囲まれた冷涼な気候 で、海風を受けて育った ピノ・ノワールやシャルドネ からワインが醸造されます。また ペニンシュラ温泉(ペニンシュラ・ホットスプリングス) があることでも有名で、宿泊しながら自然とワインをじっくり楽しむのもおすすめです。

クイーンズランド州

オーストラリアワインの産地としては知名度が低いクイーンズランド州ですが、上質なワインが生産されることで近年注目されています。ワインは 主に州南東部のグラニット・ベルトで生産 されており、日本ではなかなか流通しない極上のプレミアムワインを生み出す 「シロメィ」は特に有名なワイナリー です。

■グラニット・ベルト

ブリスベンから南西約250km の場所にある、知る人ぞ知る銘醸地。標高は600m~1,000mと高く、 国内でもっとも標高の高い場所にあるワイン産地のひとつ です。世界的に名高いプレミアムワイナリーの「シロメィ」では、冷涼な気候を活かした シャルドネの白ワイン のほか、ポルトガルで多く栽培される ヴェルデーリョを使った辛口白ワイン 、ボルドーが原産の プティ・ヴェルドを使った赤のスパークリングワイン なども醸造されています。

西オーストラリア州

生産量は少ないながらも高品質のワインを数多く生み出す 銘醸地、西オーストラリア州。主な産地であるスワン・ディストリクトやマーガレット・リバーは温暖で乾燥していますが、 「フリーマントル・ドクター」と呼ばれるインド洋からの海風 によりブドウ栽培に適した気候条件となり、世界的にも注目される上質なワインに仕上がります。

■スワン・ディストリクト

パースの北側、スワン川に沿って広がる スワン・ディストリクトは、西オーストラリア州でもっとも歴史のあるワイン産地。暑く乾燥した気候で、白ワインでは主にフランス・ロワール地方を原産とする シュナン・ブラン 、赤ワインでは シラーズやカベルネ・ソーヴィニヨン を楽しむことができます。この産地には 西オーストラリア州最大の「ホートン・ワイナリー」 があり、辛口の白ワインが有名です。

■マーガレット・リバー

オーストラリア南西部 にあるマーガレット・リバーは、国内有数の銘醸地。 良質な赤ワイン を生み出すことから、フランスのボルドーやイタリアのボルゲリ、アメリカのナパともしばしば比較されます。インド洋の沿岸に広がるブドウ畑では主に カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラーズ、シャルドネ といったブドウ品種が栽培されており、温暖な気候のもと、 インド洋からの海風「フリーマントル・ドクター」 を受けて 芳醇な果実味を持つ力強いワイン が生まれます。

■グレート・サザン

西オーストラリア州の最南部に位置する、 冷涼で降水量の多い産地 。5つの地区があり、それぞれ アルバニー、マウント・バーカー、デンマーク、ポロングラップ、フランクランド・リバ一 と呼ばれています。特に リースリングとピノ・ノワール は上質なことで知られるほか、 シラーズ は温暖な産地のものとは異なり、原産地フランス・ローヌ地方に似たスパイスの風味が感じられます。

タスマニア州

オーストラリア大陸の南 に浮かぶタスマニア島。 小規模でありながらも最高級のワインを生み出す ことから、”小さな巨人”とも呼ばれています。島内には主に5つの産地があり、オーストラリア大陸内の産地よりも 全体的に冷涼なため、高品質なピノ・ノワールやシャルドネ が生み出されます。

■テイマー・バレー

タスマニア島北部 に流れるテイマー・リバーの両岸に広がる産地。オーストラリア大陸との間にあるバス海峡から冷涼な風が流れ込むことで、主なブドウ品種である ピノ・ノワールやシャルドネがエレガントな風味 へと仕上がります。スティルワインだけでなく、シャンパンと同じ瓶内二次発酵の スパークリングワインも醸造 されています。

わずか200年あまりで、世界有数のワイン生産地に

甘口のデザートワインが主流の時代が長く続いたオーストラリアですが、その後テーブルワインの生産が増え、今では世界が認める数々の高級ワインを生み出すまでに発展しました。近年では、農薬を少量またはまったく使わないナチュラルワイン(自然派ワイン)も注目を集めています。時代とともに進化を続けるオーストラリアワイン、その魅力を味わいにぜひ現地ワイナリーへ足を運んでみてはいかがでしょうか。

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