世界中のワイン愛好家が注目!フランス ブルゴーニュ地方 ボーヌで行われる「栄光の3日間」とは? image

世界中のワイン愛好家が注目!フランス ブルゴーニュ地方 ボーヌで行われる「栄光の3日間」とは?

毎年11月の3週目の金曜から3日間にわたり開催される、フランス・ブルゴーニュ地方最大のワインのお祭り「栄光の3日間」。ブルゴーニュワインがお好きな方は一度は聞いたことがあるかもしれません。一体どんなお祭りなの?どんな楽しみ方があるの?ワイン生産者も参加するの?初心者でも参加できる?などなど、たくさんの質問をブルゴーニュ在住のワイン専門通訳ガイド・裕子レザンドールさんにお伺いしました!

~ 裕子レザンドールさんのご紹介 ~

ブルゴーニュのワイン専門ガイドとして、 15年以上のキャリアを持つ裕子さん 。ご自身もとってもワインがお好きで、 現地の醸造家の皆様ともとても良い関係を築かれていらっしゃいます 。裕子さんのすごいところは言葉の壁なんかないのでは?と感じさせる、自然でわかりやすい説明。ワインに限らず、ブルゴーニュの歴史にも精通していらっしゃる素敵なガイドさんです。

「栄光の3日間(Les Trois Glorieuses de Beaune)」とは?イベント概要とハイライト

一夜で売り上げ20億円以上?一番のハイライトはワインオークション

ー「栄光の3日間」とはどのようなイベントでしょうか?

「Les Trois Glorieuses」はフランス語で「3つのイベント」という意味ですが、日本語では「栄光の3日間」と少し意訳されています。

この3つのイベントというのは、1つ目は1859年に始まった ワイナリー オスピス・ド・ボーヌ( Hospices de Beaune)のワインオークション 、2つ目は1923年からオークションに日程を合わせて行われるようになった ムルソー村の収穫祭 、3つ目は1934年に発足した ブルゴーニュの利き酒騎士団の叙任式 のことを指しています。

1924年からはオークションを11月第3週目の日曜日に固定し、その3つのイベントが同じ週末に開催されるようになりました。土曜夜にクロ・ド・ヴージョ城で利き酒騎士団の叙任式、日曜午後にボーヌ中心街でオスピス・ド・ボーヌのワインのオークション、月曜昼にムルソー村のお城で「ポレ」と呼ばれる収穫祭が行われます。その為日本語では「栄光の3日間」と呼ばれるようになったんですよ。

ーお祭りの一番のハイライト・ワインオークションについて教えてください。

お祭り中の目玉はなんと言っても「オスピス・ド・ボーヌ」が主催するワインのチャリティーオークション です。日曜日の14時30分から行われ、競売にかけられるワインは全てオスピス・ド・ボーヌが所有するブドウ畑から造られた初物ワインです。 50種のワインが一樽単位で取引され、多い年では800樽を越える 為、オークションは夜遅くまで続くことも多いようですね。また収益金は現在のボーヌ市民病院の設備投資などにあてられています。

そして毎年一樽だけは特別に慈善団体に寄付するためにオークションが行われ、出来るだけ沢山のお金を寄付できるように 一時采配を有名なフランスの著名人が代行してオークションを盛り上げます! ワインの値がどんどん高騰していく中、バイヤー同士の駆け引きが続き、最終的に一体誰が落とすのかが最大の見せ場になっています。

ー私も参加してみたい!オークションは一般の人も見学できるのでしょうか?

オークションを含めた3つのイベントは完全予約制となっており、残念ながら 一般の観光客が参加することはなかなか難しい のです。しかしオークションについては 会場前に大きなスクリーンが設置され、会場の様子を大画面で観ることができる ので、ワインを飲みながら参加した気分を味わうことができますよ。

一般のお客さん向けには、その期間お祭りとしてボーヌの町で様々なイベントが開催されているので、ぜひそちらを楽しんでほしいですね!ボーヌ住民だけでなく、世界中からワイン関係者が集まるこのタイミングに乗じて、現地に足を運んだ人たちが観光とワインを楽しんでもらえるよう、町のワイナリーやワイン店などが挙って特別行事を提供しているんです。

利き酒騎士団の宴会

ーイベントのひとつである「利き酒騎士団の叙任式」というのはどのようなものですか?

ワインオークションの前夜に、ブルゴーニュ利き酒騎士団の本部が設置されている「クロ・ド・ヴージョ城(Chateau du Clos de Vougeot)」で行われる会合です。

ブルゴーニュ利き酒騎士団はブルゴーニュワインの伝搬(特に口伝えによる名声の保持)を目的として1934年に発足しました。以後、毎年新メンバーが加わり、叙任式が行われています。

会合は利き酒を含め年に十数回行われますが、 栄光の三日間の叙任式は一年で最も重要なもの で、シュヴァリエという称号を持つ者、新たに叙任される者、そしてその家族・友人が招待され、 約600人もの人がクロ・ド・ヴージョ城に集まります 。新メンバーは赤と黄色の衣装を来たシュヴァリエ幹部から「ブドウ樹の父ノア、酒神バッカス、ブドウ農家の守神サン・ヴァンサンのもとシュヴァリエ利き酒騎士に叙任します。」と公表され、公然で台帳に氏名を記帳します。その後、シュヴァリエたちが認めた素晴らしいワインとブルゴーニュの伝統料理を郷土音楽とともに楽しみながら深夜遅くまで晩餐会が行われているようですね。

ー利き酒騎士団に任命される条件はあるんでしょうか?

まずは既にメンバーになっている2人のシュヴァリエから推薦を受けることが必要です。「ブルゴーニュワインの良さを伝達する」のが目的の団体ですので、ブルゴーニュワインへの感心が試され、年に十数回現地で開催されている同団体の会合、もしくは日本支部で開かれる会合に少なくとも2~3回参加したことがなければなりません。その後の書類審査ではこれまで自分がどのようにブルゴーニュワインに携わってきたのかについて自己アピールします。現在、ブルゴーニュ利き酒騎士団は 世界中で1万5千人 が現役メンバーに数えられ、 実は日本人も200人ほど叙任しています。

総勢700名によるムルソー村の昼食会

ームルソー村の収穫祭について教えてください。

オークション翌日に ムルソー村の「シャトー・ド・ムルソー」で開かれる昼食会 です。今では総勢700名が一堂に会する国際色高い大昼餐会となっていますが、元々は、ムルソー村の生産者たちが収穫を手伝った人々に感謝をする慰労会から始まり、男たちだけの会でした。というのも、昔、修道会では収穫終了を祝って、収穫者たちに栄養価の高い料理を振舞い労ったそうです。その慣習は フランス大革命を機に忘れられてしまっていましたが、個人ベースでは細々と続いていた のです。ムルソー村の生産者たちはその慣習を復活させ、1923年に村の収穫祭を開催しました。

戦争や経済危機を経てオスピス・ド・ボーヌが世界をターゲットにしたオークションを繰り広げるようになると、ムルソー村の生産者たちも自分たちの村の収穫祭を発展させ、ワイン評論家を招いたり、オスピス・ド・ボーヌのイベントに日程を合わせることによって取引先のインポーターなども招待するようになりました。現在、 参加者の半分はムルソー村の生産者たち、もう半分はその生産者たちが招待した顧客 です。

ワインはなんと「持ち寄り」です!そのため、様々なワインがテーブルを飛び交い、生産者たちが御酌をして回ったりするので、とてもアットホームな雰囲気で、楽しい食事会なんですよ。

実は私も一度だけ機会に恵まれ出席する事ができましたが、夢のような一時でした!

ボーヌの人々からみたオスピス・ド・ボーヌの存在とは?

オスピス・ド・ボーヌの成り立ち

ー先ほどから話題に出ている、オスピス・ド・ボーヌについても教えてください。

1443年、ボーヌの町の中心に「 オテル・デュー(貧民救済のための施療院) 」が建てられました。それがオスピス・ド・ボーヌの元祖です。「 オスピス・ド・ボーヌ 」と聞けばそのワインが有名なために、ワインメーカーのイメージがまず先に来る方もいらっしゃるかもしれません。現在でも病院の活動は受け継がれ、病院にお世話になった方々の中には畑を寄進する人たちがいたのです。

その風習は今なお続いていて、現在でもときどき自分が相続するはずのブドウ畑を病院に寄進する方がいらっしゃいます。教会や病院に感謝の念を伝え、恩恵をあやかるために寄進するときは、昔から「良い畑」と相場が決まっています。そのため オスピスの所有畑は約85%がプルミエクリュ(格付けで一級畑を認定された畑)以上の畑 です。今では総じて60ヘクタールに上り、ワイナリー部門を独立させた「ドメーヌ・デ・オスピス・ド・ボーヌ」として別に経営しています。

オスピスのワインは昔、個人ごとに話し合いで値付けをして売られていましたが、1859年からオークション形式をとるようになりました。当初は主に地元民を対象としたものでしたが、戦争や世界恐慌を経て世界中に買い手を求めるようになり、現在では 世界で最も有名なワインオークションにまで発展し、今年で161回目を迎えます

誰もが誇りに思う町のシンボル的存在

ーボーヌの町の発展にはオスピス・ド・ボーヌの存在が欠かせなかったんですね。

はい。現在はボーヌ市の市立病院として一般の他の病院等に運営されていますが、もとは介護シスターたちが貧民を救済したオテル・デューに始まります。 寄進が重なって60ヘクタールにもなるあちこちに散らばったブドウ畑 を病院の個人資産として所有することで、設備投資にも余裕が生まれ、人口2万人程度の小さな町にしては大きくて近代的な病棟を構えています。今でもお年寄りも遠くまで足を運ばずに済むのでとても有難い存在です。

またオスピス・ド・ボーヌがワインオークションを開催することで、ボーヌの町に人が集まり、ブルゴーニュ全体を観光とワインの両方で名を馳せさせるリーダー的な存在にもなっています。 オークションの収益はオテル・デュー博物館の修繕費にも充てられています ので、今もなお美しい姿を残し、その 高い尖塔と色鮮やかな屋根がボーヌの町の象徴 になっています。皆さんも是非ボーヌを訪れた際には立ち寄ってみてくださいね!

観光客でも参加できる「栄光の3日間」の楽しみ方

ブルゴーニュのグルメやワインの産地ならではのイベントが盛りだくさん

ー話は戻って、ボーヌの町ではどのようなイベントが開催されているんでしょうか?

街中のいたるところに屋台が出ていて、 ブルゴーニュ名物のトリュフやブフ・ブルギニョン (牛肉の赤ワイン煮込み)、エスカルゴ、カシスのリキュール、乾燥ソーセージ、蠣など、グラスワインを片手に気軽に飲んで食べて楽しめます。セミマラソンや歩行大会に参加する人たちも大勢集まり、教会前の通りから一斉にスタートします。 街中がお祭りムードの雰囲気にあふれていますよ。

他にも、 ボーヌのワイン学校の生徒による樽づくりのデモンストレーションやワインのコルク早抜き大会が路上で行われたり 、音楽隊や民族衣装を来た人たちのパレードも通ります。人々は競売にかけられるオスピスのワインの試飲に行列したり、ブルゴーニュ生産者たちの新酒の試飲会に参加したり、町のワイナリーやワイン店が祭りを機に企画するオスピスのバックヴィンテージの特別試飲などを体験したりして楽しんでいます。

ー観光客も参加できるおすすめのイベント・体験はありますか?

何と言っても「 新酒の二大試飲 」は欠かせません。 オスピス・ド・ボーヌの新酒の試飲と、ブルゴーニュ中の生産者の新酒の試飲 です。日本からわざわざ足を運ばれるのでしたら、ぜひ!この二大試飲はぜひ体験していただきたいです!

オスピス・ド・ボーヌのワインの試飲はもちろん基本的にはバイヤー向けなのですが、 10種類ほどが観光客用に提供 され、プロ会場とは別にオテル・デューの旧醸造所に開設されます。9月に収穫されたばかりのブドウをアルコール発酵させて樽に詰めた段階の未完成なものなので、まだ微炭酸を感じたり、きゅっと閉まる酸を感じたりして「これがワイン?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。実は将来その ワインがどう変わっていくのかを想像しながら試飲しなければならない のです。プロたちはそれを見極めて高価なワインを競り落とすのです。

一方、 ブルゴーニュ全体の生産者がワインを展示する試飲会 の方は、 ボーヌ郊外のパレ・デ・コングレ という大ホールで行われます。300軒以上の生産者がそれぞれ数種のワインを出展しますので、ものすごい数のワインが一箇所でテイスティングできるとても希少な機会です。こちらは今年醸造されたばかりの新酒に加えて、まだ市場に出ていない樽熟成中の昨年のヴィンテージのワインが試飲できます。ほんの少しだけですがバックヴィンテージも紛れて見かけることがあります。完成前のワインはまさに成長段階にあり、今だけの風味、一期一会のワインです。

地元民も心待ちに!この時だけの限定ワインを味わう

ー 今年(2021年)はボーヌの住民にとってもワクワクする催し物が多いとお聞きしています!

昨年コロナで中止になってしまった分、今年は地元の人たちも友人や家族を誘ってワインを飲みに町に出かけてみよう!と思っている人が多いようです。セミマラソンのエントリーもすでに始まっています。町のワイナリーが提供するイベントに参加して普段は飲めない古いヴィンテージの試飲をしたり、屋台でワイワイ飲み食いしながらオークションの開始時間を待ったり。普段とはガラリと表情を変えたボーヌの町の活気を楽しむわけです。さきほどお話しした「二大試飲」は地元の人たちも楽しみにしていますよ。いつも会場はおしくらまんじゅう状態ですが(笑)今年はどうでしょうね。

ワイン生産者のお祭りに対する想い

その年のワインの価値や他ドメーヌのでき具合を知るいい機会に

ーワイン生産者もこのお祭りに参加するのでしょうか?

実は一般のワイン生産者たちも、さきほどお話しした「 新酒の展示会 」に自分たちのワインを出展するため大忙しなのです。300軒にものぼるブルゴーニュの生産者たちがワインを一箇所に集結させ、集められたワインは産地ごとに分かれたブースに展示されます。 一箇所で多くの生産者のワインが試飲できるということで、生産者にとっても他の生産者のワインを並べて試飲できるまたとないチャンス です。しかもその年の新酒の、最初の試飲となりますので、生産者にとっても良い勉強になります。

因みにこの試飲イベントには私も何度か行ったことがありますが、とても面白いです。25ユーロの入場料と引き換えにワイングラスと出展者/ワインリストが載ったノートをもらって入場しました。ブースには生産者たちご本人が時間交代でブースを受け持っているので、ワインを注いでもらう時に生産者にご挨拶することもでき、一般愛好家にとっても思い出に残る特別な試飲になると思います。予約なしで入れますし、全ての人に開かれた大人気のイベントです。

ブルゴーニュ最大のお祭りをご自宅で楽しむ

いかがでしたか?

今年はまだ海外旅行が難しい方もいらっしゃるかと思いますが、ベルトラではご自宅から 「栄光の3日間-2021-」を楽しんでいただけるオンラインツアー を開催します。
もちろんナビゲーターはブルゴーニュのワインをこよなく愛する裕子レザンドールさんです。様々なイベントが開催されるボーヌの町の様子やオスピス・ド・ボーヌ醸造長のお話、さらにワインオークションの取材、お祭りの様子など、たっぷりの内容でお届けします。

「栄光の3日間」オンラインツアーの予約は こちら から!

協力

  • ブルゴーニュ観光局

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