京都鹿ケ谷の"サステナブル"寺院2選 銀閣寺と法然院
私達がよく耳にする「銀閣寺」というのは実は通称で、正式名称は「慈照寺」といいます。
なぜ足利義政は都の中心から少し外れた場所に慈照寺(銀閣寺)を作ったのか、その点に思いを馳せながら拝観するのがポイントです。せっかくなので、近くの法然院にも寄ってみましょう。
銀閣をどう見ればいいのか
高い竹垣
総門を抜けると生垣が現れます。あまりに高いのでトンネルみたいです。
これが有名な
銀閣寺垣
です。石垣の上に竹垣が積みあがり、さらに緑の生垣で6尺、5メートル近くありそうです。
わびさび・銀閣
正式には 観音殿 といいます。1490年の建立で国宝。金閣にならって銀箔を貼る予定だったという話もありますが、今の落ち着いた佇まいを見る限り、銀箔は貼られなくて良かった気がします。
謎の向月台
砂が 円錐状 になっていて、高さは2メートル近くありそうです。だれがいつから、何のために造られたのかまったく不明らしいです。
東求堂
銀間・観音殿と共に創建時の1486年から残る建物です。この時代は飢饉や疫病で、都中に庶民の遺体が転がっていたといいます。
手のつけようがない惨状に、足利義政は政治が嫌になりこの地に隠居したのでしょう。この小さくまとまった隠居地に引きこもったのです。
将軍という最高権力者にしては小さすぎる世界ですが、
この小ささこそ、自由を求める個人として必要だったように思えてなりません
。
「
小さいという自由 小さく素朴な方が大きく派手なものより持続的で共生的
」といった思想はようやく今になって見直されようとしています。
慈照寺
- 住所:京都府京都市左京区銀閣寺町2
- 市バス『銀閣寺道』下車
- 拝観料:大人(高校生以上)500円/小・中学生 300円
※駐車場はありません。近隣の市営駐車場や一般パーキングになります。
※拝観時間は時期により異なります。詳しくは
公式ホームページ
等で確認してください。
偉人が眠る 法然院
茅葺の山門
石の階段を上がっていくと、
趣のある茅葺の山門
が見えてきます。すばらしく茅が苔生しています。周りがすべて木の枝に囲まれて、他に何も見えません。
法然院は森の中の念仏道場。この
深い森を通して他の命と共生
してきました。
今でいう
SDGs
を400年前から実行しているのです。
谷崎潤一郎の墓
法然院には広い墓地があります。大正~昭和の
文豪・谷崎潤一郎
は晩年京都に住みました。
谷崎は不倫を繰り返したり自分の妻を友人へ譲ったり、今なら許されない行動を重ねましたが、根本には小説への原動力がありました。
墓石には『寂』という一文字だけ
彫られています。
内藤湖南の墓
大正から昭和初期の東洋史家・内藤湖南は中国をよく理解していました。100年後の現在を見通したような酔眼で、中国の統治者ではなく 農民たちをよく理解 していた上で、のちの日本人に警告しています。「日本人は一時的に中国を統治しても、そのうち破滅するだろう」ということを言わんばかりです。
法然院
- 住所:京都府京都市左京区鹿ケ谷御所ノ段町30番地
- 拝観時間:6:00 〜 16:00、建物内部の特別公開は10:00 〜
- 拝観料:境内自由
※お堂拝観は500円、毎年4月と11月の一部で期間限定です。詳しくは公式ホームページ等で確認してください。
私たちはその昔、サステナブルだった
神社仏閣を訪れる目的は、ご利益を授かりたい、といったわかりやすいものが一番です。
しかし、
それぞれの寺の歴史的、文化的背景を自分なりに理解
すれば、表面的ではない拝観、参拝ができます。
拝観料やお賽銭は願いを叶えてもらうために払うのではなく、施設の維持のためです。
お金より大事なのは、
理解し感謝する気持ち
でしょう。
出典・参考
やってみよっか?