
【ストーリー・オブ・レストラン】コロナ禍で挑戦する飲食店 Vol.1『炭火焼スペインバル Mon』
「海外旅行ができない今、ご自宅で海外の味を楽しんでもらうことで幸せを届けたい」
「飲食業界も旅行業界も大打撃を受けるなか、この危機を共に乗り越えていきたい」
そんな思いから生まれた『世界のGOHAN@home』。
サービスの本格的なスタートから約半年が過ぎました。
成長を続けながら更なる協力体制を築いていくべく「ストーリー・オブ・レストラン」と題し、レストランと共に走り続けたこの半年間の軌跡をシリーズで振り返っていきます。
初回は、東京・大門にある「炭火焼スペインバル Mon」。
ラテン系個性派社員ケイの視点で、これまでの物語を語ってまいります。
①「Mon」とベルトラの出会い
きっかけは「オンラインツアー」
炭火焼スペインバルMonさん(以下、Monさん)との出会いのきっかけは、実はチームのとあるメンバーでした。
元々常連でしたが、ふとした拍子にベルトラのオンラインツアーの話に。
レストランが行ったオンラインツアーの取り組みに興味を持った店長の山本さんが「一緒に何かできれば」と声を掛けてくれたのでした。
早速私よりサービスの概要を説明し、2つ返事でOK。しかしながら、通販経験が無かったため、全くのゼロからのスタートとなりました。
②試行錯誤を繰り返した冷凍メニュー
「もう少し時間もらえますか」
山本店長へ進捗をたずねる電話では、苦戦されている様子が手に取るように分かります。こちらから電話をする度に、毎度申し訳ない気持ちになっていました。
そんなやり取りを繰り返し、やっとできた冷凍のお料理。販売開始の連絡をもらったときは、きっかけとなった女性メンバーと喜びを分かち合いました。
冷凍メニューの開発に試行錯誤した当時の話を実際に山本店長に伺いました。
- 初めてを冷凍メニューの販売するにあたり、難しかった点や苦労した点はありますか?
召し上がったお客様の姿を想像することです。
普段は店舗で食事をされる姿を目の前で見ることができ、その表情などから感じ取れるものがあります。
しかし通販の場合、料理が届いたお客様の顔を見ることができません。 対面でのコミュニケーションを大事にしてきた我々にとっては、慣れるまでに時間が必要でした。
- 特にこだわったところなどありますか?
やはり、解凍後の味にこだわりました。 出来立てとは違うものとして、水分量など計算しつつ、微妙なレシピ調整をしました。何度も失敗しながら数えきれないほどの試作を繰り返しました。
③幻の「リモート飲み会プラン」
「リモート飲み会プラン」を始めるも…
山本店長が特に興味を持ったのがオンラインと組み合わせた取り組みだったこともあり、当初は「リモート飲み会プラン」なるものを計画しました。
お届けしたMonの料理を自宅で楽しみながら、生中継で繋いだMonの店内や厨房を覗いたり、山本店長やスタッフとの会話ができる、常連さん向けのプランでした。
しかしながら、ハードルが高かったのか期待した反響は得られず、お店側も相当な準備が必要だったことから、結局のところ、数週間後に販売停止に…。
そんなリモート飲み会プランに関して、山本店長に話を聞きました。
- こちらのプランを思いついたきっかけや、目的についてお聞かせください
お客様との接点が極端に減ってしまったなかで、新たなタッチポイントを模索していました。
すでにリモート飲み会という言葉は市民権を得ていましたが、実際に行うとどうも味気ない…という意見が多かったんです。
自分も実際にやってみましたが確かにと思うところがあり、その一つが「みんなが食べているものが違う」という点。
同じ料理を食べて同じ感想を言えないところに寂しさを感じてしまったんですね。
だったら、同じ料理をそれぞれに送ってみたらどうだろう、と。
さらに、お店としてもリモート飲み会に参加して、リモート上でお店の雰囲気を味わってもらえたら楽しいのではないかと思ったのが始まりです。
- この取組は残念ながら中止することとなりましたが、山本店長の考える原因を伺えますか?
マーケットをセグメントしきれていなかったなと思ったのと、リアルを補完することはできないな、というところです。
また、一度だけ催行できたのですが、その際はリアル店舗での営業も行っていたため、店内のお客様とオンラインのお客様とのコミュニケーションのバランスの難しさを痛感しましたね。
ただ、店舗外への発信であることに未来は感じました。
④コロナ禍での新たな挑戦
スペインバルがパン屋を始めた!
Monさんでは、9月に入ってからの新たな取り組みとして、なんとパンの製造・販売を始めたとのこと。今なぜパンの販売を行うこととなったのか、伺いました。
- パンを販売するにいたったきっかけ、達成したい目標についてお聞かせください。
リモート飲み会と同じく、 やはりお客様との接点を作りたいという思いがまずありました。
毎日でもお客さんと会うにはどうしたらよいかを考えた上での、プロモーションの一環として始めました。
テイクアウトはやっていましたが、お客様の立場で考えると、出費の面からしても毎日テイクアウトとはいかない。でも、パンなら毎日食べるな、と思ったのです。
毎日でも食べて欲しい自家製のスペインパンをお店に並べて、会社帰りにフラッと寄って買っていってもらいたいと思っています。
本当のパン屋さんになることは無理ですが、
Monのパンを求めて来ていただき、どうもこんにちは!って挨拶するだけでよいのです。
赤字にならないようには見ていますが、目的はあくまでお客様との関係維持です。
- 売れ行きはいかがですか。また、パンの販売を始めてよかったことや、学びなどありますでしょうか。
ありがたいことに想定以上の売り上げです。ランチをご利用の方がよく買ってくださいます。
パンブームもあると思うのですが、「パン」という存在の引きがとても強いと改めて実感しました。
Monを全く知らなかった方でも、店頭のお声がけで買っていただくことが多いです。今回のパンをきっかけにMonを知って下さった方も多いと思います。
⑤Monの挑戦にみるレストランと旅行業のこれから
コロナをきっかけに協業することになったMonとベルトラ。最後に、旅行業界との関わりによって生まれた気付きや今後の展望について、山本店長の考えを伺いました。
- 旅行業者であるベルトラと関わって良かったこと、通販を始めてよかったことは何ですか。
全国に向けてMonの料理をお届けできるようになりました。
通販をするにも飲食店ではシステムやオペレーションの問題を抱えている場合が多いのですが、ベルトラの管理画面で受注管理できることは大変助かりました。
また、以前からスペイン旅行と料理の親和性が高いと思っていましたが、そこに絡めた販路を広げる機会が無かったんです。
今回ベルトラのオンラインツアーとスペイン料理のコラボをアレンジしてもらうことができ、スペインに対するリテラシーが高い方に喜んでいただくと同時に、厳しいご意見も頂戴しました。
大変勉強させていただくことが多いです。
- 今後、ベルトラとやっていきたいこと、新たな挑戦などありますでしょうか。また、レストランとしての今後のビジョンをお聞かせください。
通販によって、今までMonを知らなかった多くの方に我々の味を知っていただくことができました。こうして接点のできたお客様が、今度はお店へ足を運んでいただくにはどうしたらよいか一緒に考えたいです。
レストランとしての固定観点を崩していかなければいけないと思っています。
“コロナ以前“の世界に戻るのではなく、新しい世界を見据えていきたいです
。
⑥新しい世界を見据えて
このような厳しい状況にも関わらず、常に前向きに新たな挑戦をし続けているMonさん。
同じく苦境を強いられている旅行業に携わる者としても、見習うべき姿勢を目の当たりにしました。
そして、ともに乗り越えるパートナーとして、そしてお店の1ファンとしても、改めてこれからも応援していきたいと強く思います。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
Monさんのお料理は、こちらのページから。ぜひ一度、お召し上がりください。
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