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『VELTRA ワインサークルでワインを学ぼう』第一回 ワインの歴史とブドウ栽培

「ワイン」というと少し堅苦しい、難しい、敷居が高そう、、と思われる方多いのではないでしょうか?
いえいえ、そんなことありません!ワインのことを知れば、もっと気軽に、そして今以上に楽しむことができるはず。
全10回のシリーズでお届けする「ベルトラ ワインサークルでワインを学ぼう」の第一回目はワインの歴史とブドウについてです。

ワインの歴史

はじまりのワイン

みなさんは ワインの発祥の地 をご存じですか?フランス?イタリア?はたまたアメリカ?

実は中東にある ジョージア (地図上オレンジ部分)では、実は 紀元前6000年 にはすでに ワインが造られていた と言われています。その頃のワインは現在の樽やステンレスでのワイン造りとは異なり「 クヴェリ 」と呼ばれる 素焼きの壺 を利用し醸造していました。(このクヴェリを使うワイン造りは現在も続いており、2013年にはユネスコの 無形文化遺産登録 されています!)

その後ジョージアからほど近い、古代メソポタミアや古代エジプトにワイン造りは広がっていきます。その証拠にこの時代のエジプトの壁画にはワインを造るための道具や様子が描かれています。

ヨーロッパへの広がり

そして 紀元前1500年~1000年ごろ 古代ギリシャ 地中海沿岸 の地域に伝播し、この地でも ブドウ栽培 ワイン生産 が盛んに行われました。ギリシャの人々がワインを重要視していたのは、ギリシャ神話の 酒神ディオニソス (ローマ神話では バッカス )を創造した事からも読み取れます。

ギリシャから徐々に近隣国に広がりをみせ、 紀元前8世紀 に建国された ローマ帝国でもワイン生産 が栄えていきます。そしてローマ帝国が領土拡大のため北に進軍することで、現在のフランスやドイツなどにもワインが伝わっていきました。

そこから キリスト教の布教 と共に、ワイン造りは一気に ヨーロッパへと広がり をみせます。この背景にはキリストが最後の晩餐で「パンはわたしの身体、ワインはわたしの血である」と言ったことによります。そしてワインは「聖なる飲み物」として教会で行われるミサにも使用されるようになりました。その為、多くの修道院でワイン造りが行われ、品質も向上していきます。

そして世界中へ

1600年代の大航海時代、 キリスト教の宣教師たち によって、 世界中 の国々に ワインは広められて いきます。この頃にはガラス瓶とコルク栓が使われるようになり、長期間の貯蔵・熟成が可能になったことも影響していると言われています。

ちなみに日本で初めてワインを飲んだのは、年代や情勢的なことを考慮すると「 織田信長 」ではないか?と言われています。そう考えるとワインの歴史がいかに古いものかを感じることができるのではないでしょうか。

ワインとは?

酒税法による酒分類

ワインとは一般的にはブドウを発酵させて造るお酒のことを指します。

世界に流通しているお酒は「 醸造酒 」「 蒸溜酒 」「 混成酒 」の3つに大別できますが、日本国内の酒税法における分類においては「 醸造酒 」の「 果実原料 」に区分されます。ワインはもちろん、 シードル (リンゴを発酵させて作るアルコール)もこの区分に入ります。

ワインがお好きな方なら一度は聞いたことがあるかもしれませんが、 ポートワイン シェリー酒 は「 混成酒 」の「 甘味果実酒 」に区分されます。これらのお酒は単純にブドウを発酵させて作るのではなく、 酒精強化ワイン と言って醸造工程中に アルコールを添加 し、ワイン全体のアルコール分を高め、味に コク を持たせ保存性を高めている為です。

ワインの種類

ワインは醸造法によって4つの分類に分けられます。

①スティル・ワイン(Still Wine)

スティル・ワインは皆様が想像しているザ・ワイン!です。 発泡性のないもの で、 アルコール分は9~15度 程度のものが多いです。 赤ワイン 白ワイン ロゼ 、辛口から甘口までがあります。

②スパークリング・ワイン(Sparkling Wine)

スパークリング・ワインはシャンパンのような 発泡性のあるワイン です。シュワシュワとした口当たりで、スッキリとした味わいが特徴です。一般的に 3気圧以上のガスを持ったもの をいい、それ以下の気圧のものは弱発泡性ワインと呼びます。

③フォーティファイド・ワイン(Fortified Wine)

フォーティファイド・ワインは先述したポートワインやシェリー酒のような、 醸造工程中 アルコールを添加 し、ワイン全体のアルコール分を高め、 味にコクを持たせ保存性を高めたもの です。その為スティル・ワインよりもアルコール分は高く 15~22度程度 のものが多いです。

④フレーバード・ワイン(Flavored Wine)

フレーバード・ワインはスティル・ワインに 薬草 果実 甘味料 エッセンス などを加え 風味を変化 させたものをいいます。スペインやポルトガルなどで良く飲まれるワインにオレンジやレモンを加えた「 サングリア 」などもこの分類となります。

ワインというと①スティル・ワインと②スパークリング・ワインを想像される方が多いかと思いますが、今回はその他にも、もう2種類あることをぜひ覚えていただければと思います!

ブドウ造り

生育とサイクル

ここまでワインの歴史、種類とお伝えしてきましたが、ここからはブドウ造りについてお伝えいたします。

ブドウは つる性の多年生植物 で、一般的に 気温が10度になると成長 が始まります。ワイン造りに携わる人々は 季節の移り変わりを繊細に感じ 、日々の栽培を行っています。もちろん 10度以下の冬の時期も畑作業を休むことはありません 。下の表は北半球での生育サイクルをまとめたものです。南半球は季節が逆転しますので、また少し異なりますが「どの時期にどんな畑作業があるのか?」がわかると季節ごとにブドウ畑に訪れるのが楽しくなると思いませんか?

またブドウやワイン造りの名称はフランス語が多く用いられます。 それはワインがフランスに根付きそして発展してきた文化があるからでしょう。実はこの生育の過程に出てくる単語を使ったワインショップやフレンチレストランも多くあるので、注目してみるのもおもしろいかもしれません。

栽培に適する条件

ブドウ栽培には適した条件というのが4つあります。

①温度

年間 平均気温 10~20度が適切 と言われており、暑い季節と寒い季節という 気温のサイクルがある 方がより良いとされています。

②日照時間

生育期間で 1000~1500時間 ほどないと、ブドウがしっかりと熟成しないと言われています。

③水分

生育期間の前半には十分な水分が必要とされており、 年間降雨量500~900mm程度 が必要とされています。

④土壌

排水性の高い土壌の方が好ましく、 砂利 (ジャリ)や 礫質土 (レキシツド)と呼ばれる土壌が適しています。

これらの条件を満たしており、ワイン生産に適したエリアを「ワインベルト」呼び、大まかに北緯30~50度、南緯30~50度とされています。昔からワイン造りが行われているフランスやイタリアを筆頭としたヨーロッパはもちろん、アメリカやオーストラリア、南米のチリやアルゼンチン、そして南アフリカなどがこのエリアに入ります。ちなみに日本もすっぽりとこのベルトに入っています!

ただ近年、温暖化の影響で気温が上昇し、今まで寒すぎてブドウの栽培に適さなかった地でも栽培が行われるようになりました。また逆に今まで栽培してきた地域では気温の上昇によりブドウの生育に変化が現れ、それがワインの味にも現れてきていると言われています。

栽培方法

ブドウの樹の形は育てる場所の土壌や気候、立地などに合わせることが一般的で、大きく4つの仕立て方があります。

①垣根仕立て

世界的に広く採用されている仕立て方です。針金と柱を用いて枝を地面と垂直方向に伸ばします。

②棒仕立て

垣根仕立てが難しい、急斜面に適した仕立て方です。フランスのローヌ地方やドイツのモーゼルなどで良く見ることができます。

③株仕立て

乾燥地帯である、南フランスやスペインで良くみられます。ブドウの枝を①の垣根仕立てのように針金に固定しないので、あまり伸びることもありません。

④棚仕立て

ブドウや葉が棚の天面に広がるスタイルで、生食用ブドウの栽培に採用されることが多いです。降雨や湿気の多い日本や、日差し強いエジプトやイタリアなどで見ることができます。

ブドウの育て方ひとつとっても、 その地域の特性を見る ことができます。ぜひブドウ畑に訪問した際は仕立て方もチェックしてみてくださいね!

※写真は①垣根仕立ての畑です。

第二回の予告

ワインの歴史はどのアルコールよりも古く、その為ヨーロッパ諸国の人々の生活の一部になっているのがお分かりいただけましたでしょうか。またワインの基本はなんといっても「 ブドウ 」です!今回はそんなブドウの生育についてもお伝えしました。

次回は 「赤ワインと白ワイン」の醸造方法 について学んでいきます!


VELTRAワインサークルでワインを学ぼう 全10回

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