福岡都市圏からわずか1時間。筑後平野ののどかな風景の中に、日本の長い歴史が今も静かに息づく土地があります。古くは「山門(やまと)」と呼ばれ、神話の時代から平安期の戦い、そして人々の手仕事や信仰が折り重なるように受け継がれてきた場所――それが、みやま市です。
日常の喧騒を少し離れ、日本の精神文化や歴史の源流に触れてみたい。そんな思いを抱く方にこそ訪れてほしい、みやま市の奥深い魅力をご紹介します。
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みやま市~都心の隣にある、山門のクニ~
みやま市の基本情報

みやま市は、西に有明海、東に女山や清水山といった山々を望む、自然に恵まれた土地です。山から湧き出る清らかな水と、筑後平野の肥沃な土壌が、古くから人々の暮らしと文化を支えてきました。
交通の便も良く、JR鹿児島本線、西鉄天神大牟田線、九州新幹線という3つの鉄道網に加え、九州自動車道「みやま柳川IC」も利用可能。福岡市・熊本市・佐賀市のいずれの中心部からも、おおむね1時間でアクセスできます。
日帰りでも訪れやすい距離にありながら、訪れると時間の流れがふっと緩む。そんな穏やかさが、みやま市の大きな魅力です。
みやま市の歴史

みやま市の歴史は、神話の時代にまで遡ります。
『日本書紀』にも記されている巫女・田油津媛(たぶらつひめ)は、女王山(現在の女山)を拠点に天体観測や暦づくりを行い、かつて「山門県(やまとのあがた)」と呼ばれたこの一帯を治めていたと伝えられています。市内には今も「権現塚」や「蜘蛛塚」といった史跡が静かに残り、当時の人々の営みをそっと伝えています。
やがて中世に入り、源平合戦の波がこの地にも及びます。壇ノ浦の戦いで敗れた平家一門は、再起を願い九州の山深い地へと逃れました。なかでも、みやま市の要川(かなめがわ)周辺は、平家と源氏が激しく争った最期の戦場とされ、現在は「要川公園」として整備され、「平家最後の合戦の地」の碑が置かれています。
みやま市の伝統・文化

みやま市は「手仕事のまち」としての一面も持っています。最澄の伝説が残る「きじ車」や、現在では極めて貴重な国産線香花火といった伝統技術を守り伝えてきました。
また、織田信長も愛したとされる「幸若舞(こうわかまい)」は、現在では日本で唯一、みやま市大江地区にのみ伝承されています。
さらに、室町時代には、画聖・雪舟がこの地を訪れ、中国で学んだ技術をもとに「清水寺本坊庭園」を築いたと伝えられています。その後、北原白秋や佐藤春夫といった文人たちもこの庭園を訪れ、その美しさを詩や句に残しました。
みやま市の特産品・グルメ

豊かな自然に育まれ、みやま市には魅力的な特産品や郷土の味がそろいます。
全国的に知られる「山川みかん」は、日当たりの良い斜面で育ち、濃厚な甘みが特徴。西日本一の生産量を誇る「セロリ」は、驚くほどみずみずしく、香り高い味わいで、セロリの印象を覆してくれます。
また、九州でも有数の酒どころとしも名高いみやま市。北原白秋ゆかりの酒蔵「菊美人酒造」では、筑後の水と米を生かした、まろやかで端正な日本酒が造られています。
みやま市で訪れたい おすすめの観光名所
清水寺本坊庭園

みやま市を代表する歴史的名所のひとつが、瀬高町に佇む「清水寺本坊庭園」です。平安時代、高僧・最澄によって開かれた清水寺は、古くから信仰の場として多くの人々を受け入れてきました。
その境内奥に広がる本坊庭園は、室町時代の画聖・雪舟が手がけたと伝わる名園で、国の名勝にも指定されています。背後の愛宕山を取り込む「借景」の構図は見事で、縁側に座って眺める時間は格別。北原白秋や佐藤春夫といった文人たちも、この場所で静かなひとときを過ごしたといわれています。
| 名称 | 清水寺本坊庭園(本吉山 清水寺) |
| 住所 | 福岡県みやま市瀬高町本吉1119₋1 |
| 営業時間 | 9:00~17:00 |
| 定休日 | 月曜日 ※祝日の場合は除く ※毎月18日は観音縁日にのため休観 |
| 料金 | 大人300円 |
| 公式HP・SNS等 | 本吉山 清水寺 公式ホームページ |
山門古道

福岡県みやま市にある古道「山門古道(やまとこどう)」。古道のひとつ、女山(ぞやま)史跡森林公園にあるこの道を歩くと、かつてこの地が「山門のクニ」と呼ばれていた頃の面影を、随所に感じることができます。
「神宿る竹林」と呼ばれる道を歩けば、笹の葉がさらさらと風に揺れ、木漏れ日が差す神秘的な景色に五感が研ぎ澄まされます。7世紀頃に築かれたとされる「神籠石(こうごいし)」は、巨大な切り石が1km以上にわたって並ぶ姿は圧巻で、古代の人々がこの地を守ろうとした強い意志と、高い土木技術を今に伝えています。山頂の展望台に辿り着くと、目の前には筑後平野と有明海の景色が広がります。
| 名称 | 山門古道 |
| 住所 | 福岡県みやま市 |
| 営業時間 | ー |
| 定休日 | ー |
| 料金 | ー |
| 公式HP・SNS等 | 山門古道 公式ホームページ |
天保古山の「平家一本桜」

「平家谷」と呼ばれる伝説の地、天保古山(てんぽこやま)の山頂に立つ一本のヤマザクラ。それが「平家一本桜」です。3月下旬から4月上旬、山の頂に凛と咲くその姿は、源平合戦に敗れ、この地に身を潜めた平家の落人たちの誇りや想いを象徴しているかのよう。
山頂からは、周囲の山々やみかん畑を一望でき、日本らしさのある美しい景色を眺められます。山道を歩くため、訪れる際は歩きやすい靴がおすすめです。
| 名称 | 天保古山の「平家一本桜」 |
| 住所 | 福岡県みやま市山川町甲田 |
| 営業時間 | 散策自由 |
| 定休日 | 散策自由 |
| 料金 | 散策自由 |
| 公式HP・SNS等 | みやま市公式観光サイト 天保古の一本桜ページ |
長田鉱泉場・ふれあい館

新船小屋温泉郷にある「長田鉱泉場」は、日本屈指の炭酸含有量を誇り、古くから無病息災を願う人々に愛されてきた「癒やしの水」が湧き出る場所です。専用の蛇口から汲みたての水を飲むと、シュワッとした強い刺激が全身に広がります。
鉱泉場そばの売店「ふれあい館」では、水を汲むためのペットボトルを購入でき、旅のお供や、お土産にもおすすめです。
| 名称 | 長田鉱泉場 |
| 住所 | 福岡県みやま市瀬高町長田2633-1 |
| 営業時間 | 7:00~19:00 |
| 定休日 | なし |
| 料金 | 約6ℓ20円、約30ℓ100円 |
| 公式HP・SNS等 | みやま市公式観光サイト 長田鉱泉場ページ |
| 名称 | 長田鉱泉ふれあい館 |
| 住所 | 福岡県みやま市瀬高町長田2662-2 |
| 営業時間 | 10:00~17:00 |
| 定休日 | 不定休 |
| 料金 | ー |
| 公式HP・SNS等 | みやま市公式観光サイト ふれあい館ページ |
道の駅みやま

ここに来ればみやま市の「美味しいもの」がすべて揃う、活気あふれる道の駅です。
看板商品は、西日本一の生産量を誇るセロリ。特に冬から春にかけてが旬で、クセがなく筋が少ないため食べやすく、遠方から買いに来る人も。また、伝統の「高菜漬け」も種類豊富。その他にも、地元の食材にこだわったお弁当やお惣菜、スイーツなど、ここ一か所でみやまの味覚を存分に楽しめます。
| 名称 | 道の駅みやま |
| 住所 | 福岡県みやま市瀬高町大江2328 |
| 営業時間 | 直売所:9:00~18:00 フードコート:9:00~17:00(平日)/9:00~18:00(平日以外) |
| 定休日 | 1月1日~3日 |
| 料金 | ー |
| 公式HP・SNS等 | 道の駅みやま 公式ホームページ |
みやま市で体験したい おすすめのアクティビティ・ツアー
① 山門古道「祈りの道」ガイド付ウォーキング




かつてこの地を治めた田油津媛が、天体を見上げ、神に祈りを捧げた道を辿っていく、特別な体験です。山門古道のひとつ「祈りの道」に点在する清水寺、五百羅漢などのスポットを、1時間ほどかけてじっくりめぐります。ガイドの案内のもと一歩道へ踏み入れば、歴史ロマンに包まれた、神聖な世界が広がります。
清水寺
県指定文化財の三重塔や山門、雪舟の手による本坊庭園など、時代を越えた日本の美意識が凝縮されています。
五百羅漢
江戸時代に奉納された釈迦の弟子500人の石仏群。いつしか首が落とされ「首なし地蔵」と呼ばれていましたが、誰かの手によってふたたび首がつけられました。
② 清水きじ車クラフトアート




最澄が山中で道に迷った際、一羽のキジが道案内をしたという伝説から生まれ、選択無形民俗文化財に選ばれた「きじ車」。 釘を一切使わずに松の木を削り出すこの伝統工芸は、悪運を「来じ(来ない)」、幸運を呼び込むという願いが込められています。かつて北原白秋が「赤と青もて染められにけり」と詠ったように、自らの筆で丁寧に彩りを添えていきます。
きじ車を知る
まずは職人から、聖なる雉の伝説や歴史、受け継がれてきた製法について学びます。
組み立て
雉の姿をイメージしながら、一つひとつ丁寧にパーツを組み立てます。
研磨と彩色(絵付け)
希望者は研磨と彩色にも挑戦。本来、雄は仏教的な世界観を象徴する「赤と緑」、雌は「赤と黒」という伝統色で仕上げますが、今回はアート作品として自由に色を塗りましょう。
自由散策
色を乾かす間に「道の駅みやま」で自由時間。みやまの風土を楽しみます。
完成
「正しい道へ導く」とされる、あなただけのきじ車が完成。旅の思い出とともに持ち帰りましょう。
時を越える「みやま」の旅へ

福岡市内から日帰りで行けるみやま市には、日常では忘れかけてしまう「古き良き日本」が今も大切に守られています。 次の休みには、大切な人を誘って、あるいは自分一人の時間を楽しみに、ぜひ出かけてみませんか?




