戸隠神社中社は、平安時代の寛治元年(1087年)、奥社の相殿として創建されたもので、神仏混交の時代には中院とよばれていました。戸隠神社は中世には修験道の霊場として多くの山伏が集っていたところで、全山で「戸隠三千坊」というほどのにぎわいを見せていました。川中島に近いこの場所は、戦国時代には武田軍によって破壊されて荒廃しますが、豊臣政権下で上杉景勝の手により再興が図られます。明治時代には神仏判然令によって寺院が一掃されたため、神社となって現在に残ります。
戸隠神社中社には、境内入口に樹齢約900年といわれる御神木の三本杉があり、天然記念物に指定されています。また、社殿の前には青龍殿があり、宝物館を兼ねています。戸隠神社には、神宝として象牙製の笏が伝えられており、これはアフリカから渡来し、中国で加工されたとみられる貴重な文化財です。また、中社の周辺には宿坊が数多くみられ、参拝にあたって宿泊が可能なほか、名物の戸隠そばなどがふるまわれる食堂も兼ねています。