奈良・斑鳩は法隆寺だけじゃない!日本のふるさと斑鳩のみちを歩く
法隆寺の隣、中宮寺には、すばらしく美しい仏さまがいらっしゃいます。
その近くの法輪寺には、いわく付きの三重塔、世界遺産の法起寺が。いずれも聖徳太子ゆかりの寺院です。
美しさに目がくらむ 中宮寺如意輪観音
RC造りの本堂
法隆寺のすぐ隣にある中宮寺ですが、お寺としては簡素で、本堂と続き間があるだけです。本堂は昭和43年に鉄筋コンクリートで建てられた、シンプルでスタイリッシュな外観ですが、意外なほど法隆寺の歴史ある木造建築と
違和感なく調和
しています。
本堂のまわりは鮮やかな
山吹の花が咲く池
に囲まれています。門跡尼寺といって、昔から皇族の女院が住職を務めているためか、母性的で優美な雰囲気のお寺です。
聖徳太子が母のために建てたといわれます。
すべてを忘れる仏さま
本堂のなかには、「如意輪観音菩薩半跏思惟像」が座っています。
お寺には如意輪観音として伝わっていますが、美術学史としては弥勒菩薩だろうといわれています。
しかし、名前などどうでもいいと思えるほどの
オーラがあります
。
アルカイック・スマイル、頭の上の2つのお団子、滑らかな腰つき。
京都・広隆寺の弥勒菩薩半跏像と並ぶ、
国内最高峰の傑作
です。
----------------------------------------------------------------
「およそ愛の表現としてこの像は世界の芸術のうちに比類のない独特なもの」和辻哲郎, 古寺巡礼, 岩波文庫, 2002
「永遠の微笑」「おのずから故郷へ還ったような安らぎを覚える」亀井勝一郎, 大和古寺風物誌, 東京創元社, 1977
----------------------------------------------------------------
というように、今まで何人の作家や哲学者、学者らがこの仏さまを前にして固まったことでしょう。
中宮寺
- 住所:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺北1-1-2
- 電話:0745-75-2106
- 拝観料:大人 600円 ※各種割り引き、拝観時間などは季節により変動があります。詳しくはホームページなどで確認してください。
大工vs学者の戦い 法輪寺三重塔
飛鳥時代唯一の薬師如来
門を入って正面の講堂には、釈迦如来のような風貌の薬師如来が安置されています。
飛鳥時代のものとしては
現存する唯一の薬師如来像
です。通常見る薬師如来とは雰囲気が違います。特にお顔がやや面長で、いかにも飛鳥時代、飛鳥寺の釈迦如来によく似ているのです。
昭和の再建 三重塔
昭和19年の落雷で焼けるまでは
飛鳥時代の三重塔
が建っていました。昭和50年、作家の幸田文さんらの尽力で再建に取り組んだ大工・西岡棟梁は、鉄骨を使おうとする学者と激しく揉めたといいます。
鉄骨ではもって100年、ヒノキなら1000年。しかし、学者の考えは、将来西岡棟梁のような木造の建築技術が断絶することを見越し、後世でも対応できる鉄骨にしておくほうが、結果的に良いだろうというもの。
学者の意見も一理あると認めながら、西岡棟梁は黙ってヒノキを使った、と告白していますが、公式には鉄骨も一部採用されたと発表されています。構造部なので今では確認できませんから、真相は闇の中で、次の改修までわかりません。
法輪寺
- 住所:奈良県生駒郡斑鳩町三井1570
- 電話:0745-75-2686
- 駐車場:無料
- 拝観料:大人500円 ※拝観割り引き、拝観時間などは、ホームページで確認してください。
日本が誇る世界遺産 法起寺
古代の名残り シコロ葺きの本堂
江戸時代初期に再建された本堂ですが、古代建築によく使われた、
屋根が2段になっている
シコロ葺きという形式になっています。
この付近には飛鳥時代創建時の伽藍の礎石が残っています。
現存最古の三重塔
706年に建った塔が
1300年以上建ち続け
ています。もちろん
国宝
です。飛鳥時代の建築様式を解説しているときりがありませんが、
法隆寺の五重塔とよく似ていて、いつまで見ても飽きません。
法起寺
- 住所:奈良県生駒郡斑鳩町岡本1873
- 電話:0745-75-5559
- 大人(中学生以上)300円
- 小学生 200円
斑鳩の里めぐり
今回ご紹介した3つのお寺と法隆寺も含めて、歩いて周れるほどの距離に集まっています。
建物にしても、仏像にしても、
飛鳥時代、奈良時代を残しているのは奈良県だけ
です。
さらに
飛鳥時代はこの斑鳩と明日香村の一部のお寺
にしか残りません。
寄ってみる価値はありますよ。
出典・参考
やってみよっか?